中古住宅のインスペクション

中古住宅のインスペクションは義務化されたの?

法律改正のポイントとインスペクションのメリット
宅地建物取引業法(以下、宅建業法)が2018年4月に改正され、インスペクションについて
不動産会社が売主と買主に伝えることが義務化されました。さらに2020年4月には民法の規定も大きく変わります。
これらは住まいをこれから売買する予定がある人なら、知っておきたいポイントです。
この改正によって、中古住宅を売買するときの売主の責任が重くなるケースがあるからです。

そこで押さえておきたいのが、インスペクションです。インスペクションは、
中古住宅の売買で大切なポイントになる建物の健康診断。今回は宅建業法でインスペクションについて何が義務化されたのか、
民法改正で何が変化するのかを紹介します。中古住宅を売買するときに上手に活用しましょう。

関連記事:瑕疵保険とは?どんな時に使えるの?

宅建業法の改正によって、以下の3点が不動産会社に対して義務化されました。

  1. 媒介契約(住宅を売買仲介するための契約)を締結する際に、インスペクション事業者を斡旋できるかどうかについて告知する義務(34条の2 第1項第4号)
  2. 重要事項説明(売買する際に必ず伝えておかなければならない項目の説明)の際に、インスペクション内容についても説明する義務(35条 第1項第6号の2)
  3. 売買契約が成立した際に、建物状況について売主・買主双方が確認した事項を記載した書面を交付する義務(37条 第1項第2号の2)

つまり、インスペクションに関する要望があれば必ず対応すること、
またインスペクションを実施した事実について告知し、書面に記すという業務が不動産会社に対して義務化されたのです。

これによって、不動産会社は売主、買主から尋ねられなくても、インスペクションに関連する
業務について進んで説明することが求められることになりました。

ただし、斡旋できるかどうかを説明しなければならない義務などが規定されただけで、
インスペクション自体が義務化されたわけではありません。

インスペクションするかしないかは売主と買主双方の意思、という点はこれまでと変わりません。

インスペクションの費用はいくら?
ではこのインスペクションにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
不動産会社の対応もまちまちで、無料で実施するところもあれば、売買が成約した際に成功報酬として
費用が発生する場合や、仲介手数料に含めて請求する場合もあります。

いずれにしても一般的には3~5万円程度の検査費用です。
インスペクションは資格を持った建築士が実際に建物を見て現状がどうなっているかを
確認する調査ですので、いわゆる“アラ探し”とは異なります。検査費用を支払うことで、
建物の状態を知ることができ、売買の安心が得られることを考えると、実施を検討してみてもいいでしょう。

民法改正で重くなる? 売主の「責任」

次に、民法改正について一部をご紹介します。
2020年4月に民法が改正になり、売主の瑕疵(かし)担保責任に対する考え方が大きく変わります。

これまでの民法の規定では、買主が購入した中古住宅について何らかの不具合を発見した場合、
その不具合があることを知ってから1年以内に売主に対応を求めることができるとされていたのですが、
これは任意規定で、実際には売主の責任が大きすぎるという取引上の理由で、
売買から3ヶ月以内に何らかの不具合がなければそれ以降は免責、という契約が多くを占めています。

なかには、不具合も含めて売買時の現状そのままで買ってもらうのだから(これを「現況有姿」といいます)、
契約時点で売主は売買後に見つかった不具合に関して責任を取らないという契約書もごく一般的に使用されているのが現状です。

これが民法の改正によって、「売主の瑕疵担保責任」という考え方自体がなくなり、

改正後は契約の内容に適合しないものは原則としてすべて売主の責任になります。 これを「契約不適合責任」といいます。

これまで不具合=瑕疵は売買契約した時までに発生していたものに限られていました。
しかし、改正後は契約に適合しているか否かを判断するため、契約した前後に関わりなく引き渡しまでに
発生したものも含むことになります。そのため、売主の責任はこれまでより確実に大きくなると考えられます。

「インスペクション」+「瑕疵保険」の組み合わせがポイント
前述したように、2020年4月から中古住宅の売買についての売主の
「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に変更されます。そのため、売主は売却後のトラブルについて、
これまでのように売った時点で免責、3ヶ月たったら免責、というわけにはいかなくなるのです。

契約不適合責任に対応するには?

そこで、どのような対策をとればよいのでしょうか。

現状ではこの契約不適合責任に対応する方法として、

  • 事前に建物をインスペクションしておき、瑕疵保険に加入可能な状態にしておくこと
  • 買主(希望者)がインスペクションしたいと要望した際に拒否せず、
    インスペクションしてもらって瑕疵を補修すれば瑕疵保険に加入できることを認識しておくこと

などが、有効な手段として考えられます。

契約不適合責任が問われ、引き渡しまでに発生していた不具合について、
契約後も免責にならないのであれば、その責任をコストとして負担してくれる瑕疵保険の存在は、
売主にとって大変心強い味方になると言えるでしょう。

まさに売主にとってトラブルに備えた「保険」となるのです。

買主にとってのメリット

もちろん、買主にとってもメリットはあります。売主との契約に関してトラブルになることはできる限り避けたいでしょうから、
瑕疵保険加入によって瑕疵が発見されたあとに保険金が支払われれば、瑕疵部分を補修することが可能になります。
また、

インスペクションすると今後住み続けるうえでどこを修繕&リフォームしておけば建物が長持ちする

か、
という視点での専門家からのアドバイスを受けることも可能です。

売主、買主双方にとって、インスペクションしておくこと、インスペクションすることによって
瑕疵保険に加入可能な状態にしておくことは、このように実利的な面でのメリットが大きいのです。

瑕疵保険の留意点

瑕疵保険でもカバーできない建物の瑕疵はありますから、保険で100%安心とは言えません。
しかし、住宅の瑕疵のほとんどをカバーしてくれる瑕疵保険に加入することを前提として、
インスペクションを実施することと、インスペクション実施を(売主が)許諾することは、

将来発生するかもしれないトラブルを事前に回避する手段

として、有効と考えられます。
瑕疵保険には保険機能以外に住宅ローン減税の対象になるという大きなメリットもあるので、
その仕組みを理解して上手に活用したいものです。

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